【活動報告】「特定非営利活動法人 サヘルの森」様の活動をご紹介します

皇漢薬品研究所のSDGs

十数年前の出会い以来、わたしたち皇漢薬品研究所が応援し続けている「特定非営利活動法人 サヘルの森」様の活動をご紹介いたします。

「サヘルの森」様は、 ⻄アフリカのマリ共和国を中⼼に、砂漠化対策や植林活動、そして現地の生活環境安定のため、⻑年にわたりご尽⼒されています。
サヘル地域は、アフリカ⼤陸のサハラ砂漠南側に広がる乾燥地帯の総称。近年の⼈⼝増加や気候変動が森林の減少や⼟地劣化を引き起こし、現地の⼈々は常に⾷料難と⽔不⾜にさらされている状況です。

地図:サヘル地域

地図:サヘル地域


地球規模で進行する自然環境破壊は、私たちの健康づくりにも深く関わる問題です。
環境破壊の最前線で自然の再生を目指す「サヘルの森」様の存在を、ぜひ皆様にも知っていただきたいと考えました。
この記事をきっかけとして「サヘルの森」様の意義深い活動を応援・サポートしてくださる輪が広がれば幸いです。

ご興味をもっていただけましたら、ぜひ一度「サヘルの森」様のホームページを訪問してみてください。

「特定⾮営利活動法⼈ サヘルの森」様 ホームページ

皇漢薬品研究所は、これからも「特定⾮営利活動法⼈ サヘルの森」様を応援して参ります。 

サヘルの森運営委員 事務局⻑ 榎本 肇様より、「サヘルの森」の活動についてお話をいただきました。

「サヘルの森」のはじまり

サヘルの森は1987年1月に、サヘル地域の砂漠化防止と地域住民の生活の安定を目指して任意団体「サヘルの会」として発足しました。以来35年以上にわたりマリ共和国において植林を中心とした活動を続けてきました。

砂丘への植林

砂丘への植樹(マリ北部、1989年)


活動当初は、マリ共和国の中でも乾燥の度合いが高い、マリ北部で植林活動を行いました。その活動地2㎞の植林帯が完成し、10年余り経過した頃、その樹木の実を食べた家畜の糞で拡散した種子から天然更新によって小さな森ができたこともあり、1999年の法人化を機に会の名称を「サヘルの森」と改めました。
活動では日本人スタッフを派遣し、マリの人々の生活や知恵を学びながら、その土地で持続した生活が送れるように、共に砂漠化を防止する方法を探っています。

天然更新で育った森

自然更新で育った森(マリ北部、1999年)


遊牧民の定住化と自然破壊

アフリカのサヘル地域(サハラ砂漠の南縁)では、雨季と乾季がはっきり分かれ、北部に行くにしたがって生活も厳しく、乾燥した土地が広がっています。この地域では伝統的な牧畜や農業を移動しながら行うことで、自然資源を有効に活用して生活を維持してきました。しかし、遊牧民の定住化や都市化が進み、自然からの収奪が増えることで、土地が疲弊し砂漠化が広がっていきます。
こうして残された土地にさらに人々が集中して、その自然が破壊され、さらに砂漠化が進むという悪循環に陥っています。

ヤギを率いる遊牧民

ヤギの群れを率いる遊牧民

遊牧民のテント

移動を前提としている遊牧民のテント

厳しい自然環境を持つがゆえに、貧困の問題もまた生まれ、マリは幾度の政変や紛争を抱えてきました。特に政権が崩壊したリビアから流入したジハード(聖戦)主義者がマリ北部3州を占拠した出来事は多くの犠牲と混乱をマリに持ち込みました。私たちの活動もその度に活動地の変更・中止を余儀なくされました。

里山の再生を目指す「実践者」の育成

現在は比較的治安の良いマリ南部の首都バマコの周辺で活動を続けています。
マリ南部は、マリ北部に比べ降水量も多く、様々な穀物(トウモロコシ、ソルガムなど)や換金作物(綿花、ラッカセイ、ゴマ)などを栽培しています。

シーアバターノキが残される穀物畑

シアバターノキが残されている穀物畑


この地域では、マリ北部とはまた違った問題を抱えています。人口の多い、たくさんの都市を抱えるこの地域では、ガスなどが普及しておらず、都市住民でも煮炊きには薪や炭を使用しています。その薪炭材が近郊の農村部から伐採して運ばれているのです。農村部の森林はいわばアフリカの「里山」とも言えるもので、薪炭だけでなく、地域の人々の生活を支える大切なものです。その「里山」が都市に供給される薪炭材を伐り出すために急激に疲弊しています。

炭焼き

里山から切り出した木で炭を焼く


この里山を回復させようと、現在、住民の中から里山再生を担う「実践者」を育成しています。まずは地域で高い技術を持つ地域苗畑主を講師として、里山再生に必要な樹木の育苗や育成の技術を学んでもらいます。

接ぎ木実習

接木を学ぶ実践者たち(マリ南部、2018)


そのあと、自身の所有する里山に戻り、学んだ技術を活かして苗木を作り、植え育て、そして使うことを実践していきます。この実践が技術を自分のものにしていく過程であり、技術や経験を積み上げていくのに非常に重要です。マリ人スタッフが定期的にフォローしたり、年数回、地域苗畑主や実践者同士が交流して、互いの経験や技術の共有を行い、時にはヒントを得、時には自身の里山の将来像をイメージできるようにして、地域の里山再生をリードしていく人材を育てています。

実践者が育てた在来樹の林

実践者が育てた在来樹の林(マリ南部、2022)

技術交流

実践者から住民に経験を伝える(マリ南部、2022)

広がる現地の輪

さらに近年は育った「実践者」からさらに周りの興味のある住民にも実践活動を広げていく取り組みも行っています。地域の至る所に、実践者が行ってきた様々の段階の里山があることで、住民が目の当たりにでき、自分にもできそうだと周囲への感化も期待しています。最近では急激な森林の減少からか、住民の中にも危機感を感じる人が増え、植樹は大事であると里山再生の活動の機運を後押ししてくれています。
住民が樹木を伐る一方でなく、自ら木を植え育て管理していくことが、自然の森林を守ることにもつながっていくと考えています。

実践者から住民に経験を伝える

実践者同士で技術の交流(マリ南部、2022)



みなさまも「サヘルの森」の活動に加わりませんか?
特別なスキルや経験がなくても、気軽に活動にご参加いただけます。
●ボランティア活動(イベントのお手伝いなど)
●講演会・ワークショップのご依頼
●会員登録(会費でサヘルの森の活動を支えていただきます)
●募金(一般募金、苗木募金など)

詳しくはサヘルの森HPをご覧ください。

特定非営利活動法人サヘルの森
西アフリカのマリ共和国で30年以上に渡り植林活動を行っているNGOです。

サヘルの森運営委員 事務局長
榎本 肇 様


未使用切手や書き損じはがき、農業資材、事務用品などの寄付も受け付けているそうです。

早速社内でも、皆で引き出しに眠っているハガキや切手などを集め始めています。
わたしたち一人ひとりにも、地球環境のためにできることがあると気がつきました。
まずは身近なことから、一歩踏み出してみる。
西アフリカの環境改善を祈りながら、今後ともSDGsに取り組んでまいります。

※全ての人が安心して暮らせる未来を目指した、環境、社会、経済など地球規模での「持続可能な開発目標」を指します。

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